コラム
マイセン
- 2019.04.25
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マイセンの歴史
300年前、ヨーロッパで初めて硬質磁器を生み出したドイツの名窯「マイセン」
今回はそんな「マイセン」の歴史についてお話ししたいと思います。
大航海時代も終わりに近づいた17世紀初頭、ヨーロッパ王侯貴族などの間では、東洋の薄くて硬い白磁器が貴重な美術品として大変な人気がありました。
なかでも、中国の景徳鎮や日本の伊万里焼といった硬質磁器の透き通るような輝きは、王侯貴族たちを夢中にさせたといいます。
純白で薄く、硬く艶やかな硬質磁器は、当時のヨーロッパでは未だに作り出すことのできない物であり、事業家たちは必死に製造技法を見つけ出そうとしていました。
なかでもドイツ北部のザクセン公国を統治する選帝侯アウグスト強王は、東洋磁器の屈指の収集家であり、アウグスト軍に属する兵士600人と、プロイセンの王が所有していた中国の壷151個を交換したという逸話も残っているほどです。
1705年、アウグスト強王はひっ迫した経済の切り札として、錬金術師のヨハン・フリードリッヒ・ベトガーに磁器の製造を命じます。
ザクセン公国は鉱山資源に恵まれていたため、ベトガーの実験室には国内のあらゆる鉱物が運び込まれ、様々な実験が繰り返されました。
1709年、ついにベトガーはドイツの数学者であったチルンハウスの協力のもと、ヨーロッパで初めて白地の磁器の製造に成功します。
アウグスト強王はこの白磁製法を門外不出とし、情報の流出を防ぐのに躍起になります。
ベトガーは監視のついた実験室に閉じ込められ、外部との接触を禁じられた状態で磁器製造に取り組みました。
1710年、アウグスト強王は情報の遮断と磁器の量産体制を敷くため、製造の拠点をドレスデンから25キロ離れたマイセンに移転します。
中世の要塞アルブレヒト城内に工房が設置されました。
名窯「マイセン」の誕生です。
以後150年にわたってこの工房からマイセン磁器が製造されることになります。
1717年には磁器の染付にも成功し、1722年にはマイセンのトレードマークである双剣(アウグスト王の紋章)が窯印として使用されるようになります。
窯印を描くことを専門とする絵付師、シュヴェルターによって一点一点手書きされています。
歳月とともに微妙に変化があり、こうした窯印の違いは作品の制作年代決定の手段の一つになっています。
マイセンの発祥の要因は、アウグスト強王の古伊万里のコレクションから始まりました。
中でも柿右衛門の赤絵は20世紀になるまで王族にしか使用が許されなかったそうです。
中国や日本の磁器を手本としていたマイセンは、ヨーロッパの王侯貴族が称賛した柿右衛門の影響を受け、マイセン独自の西洋柄の他に「柿右衛門写し」や「シノワズリ」と呼ばれる東洋柄も数多くあります。
その後も優れたマイスターの技術とアイデアで、東洋の磁器にも比肩しうる磁器へと完成されていきました。
第2次世界大戦後は国営となり、国立マイセン磁器製作所として、質の高い作品を生み続けています。
マイセン・シリーズ一例
ブルーオニオン
マイセンを代表する名作。
美しい白磁にコバルト色で描かれたブルーオニオンは中国の染付を活用して1739年に完成したシリーズです。
柘榴(ザクロ)を玉ねぎと間違えたためこのような呼び名になったというのが定説になっています。
シノワズリ
ヨーロッパで流行した東洋趣味の美術様式です。
東洋の花、鳥や幻想的な風景などが美しく描かれています。
アラビアンナイト
マイセンの中でも人気の高いシリーズ。
ハーレムの豪華で夢のような雰囲気を、妖艶な絵柄で表現しています。
24金をふんだんに使った絵付けが特徴です。
インドの華
19世紀に生まれた文様、中心から対照的に広がる図柄が特徴です。
全体的に細かく書き込まれたリッチな絵柄と、シンプルな枝つきの絵柄があります。
青い花
流れるようなフォルムの白磁に、マイセン伝統のブルーで繊細に青い花が描かれています。
ベーシックフラワー
基本となるベーシックフラワーは36種類あり、その組み合わせで一つ花から五つ花まで様々な絵柄が描かれます。
ブルーオーキッド
絵画のように大胆に描かれた蘭が特徴的なシリーズです。
1977年から1978年にかけて発表されたシリーズです。
波の戯れ
絵柄の無いシリーズ。
さざなみを思わせるレリーフが美しい、品格のあるシリーズです。
サマーナイトドリーム
シェイクスピアの「真夏の夜の夢」をモチーフにした作品。
物語のように、ひとつひとつ描かれているシーンが異なり、幻想的に描かれています。
ドラゴン
マイセンの中で最も古いデザインのひとつです。
種類や色も豊富なシリーズです。
アルペンフローラ
2000年に発表されたシリーズ。
アルプス山脈はヨーロッパの最も印象的な山脈で、標高や気候の違いにより様々な種類の植物が生息しています。
4人のマイセンのアーティストがチロルの山を歩き回り、スケッチした高山植物が描かれています。
フルーツシリーズ
写実的に描かれるマイセンのフルーツ柄。
様々なフルーツの柄は濃淡を使いオリジナルのデザインで描きあげられています。
スキャタードフラワー
マイセン代表作のひとつ。
様々な小花をちりばめた可愛らしいシリーズです。
ローズ
フラワーシリーズの中でも人気の高いローズ。
ピンクローズやイエローローズなどがあります。
宮廷の小花
マイセンの定番でもある花をモチーフにした中でも、金彩を贅沢に使ったゴージャスで華やかなシリーズです。
カラーも豊富にそろっています。
月桂樹
マイセン伝統のブルーで、縁が飾られるように月桂樹が描かれています。
インドの鳥
19世紀に生まれたインド文様を使ったシリーズです。
その中に鳥を描き、自然の風景の一場面を表現しています。
イエローアイリス
「イエローアイリス」という名前のとおり、黄色のアヤメをデザインしたシリーズです。
ホワイトレリーフ
レリーフ柄が鏡のような白磁の表面を覆い、波紋のような広がりと美しさがあります。
ベゴニア
オレンジと金色のコラボが美しいベゴニア。
抑えた優しい色合いが特徴的なシリーズです。
フローラ
繊細な花のスケッチから生まれた金銀細工のような絵付けが印象的なシリーズです。
ブルーオルテンシア
マイセンの希少なシリーズ。
「オルテンシア」は紫陽花(アジサイ)を意味しています。
手書きならではの繊細なタッチで描かれています。
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