コラム
イヴ・サンローラン
- 2019.04.18
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イヴ・サンローラン
モードの帝王と言われたのが彼、イヴ・サンローランです。
今回はイヴ・サンローランのブランドの歴史を辿っていきましょう。
イヴ・サンローランは、1936年にフランス領のアルジェリアで生まれました。
両親はフランス人。保険会社に勤める、比較的裕福な中流階級の子供でした。
子供の頃にパリ17区に引っ越しました。イヴ・サンローランが17歳になった1953年、ファッションデザイナー養成校パリ・クチュール組合学校(エコール・ド・ラ・シャンブル・サンディカル・ドラ・クチュール・パリジェンヌ)に入学。すでにこの頃から才能を発揮しており、3カ月のコースが終了する頃にIWS主催のデザインコンクールにカクテルドレスを応募すると、なんと最優秀賞の受賞をしてしまいます。この時のカクテルドレスを縫製したのが後に大きく羽ばたく事になるジバンシィでした。また、その時の毛皮部門の受賞者はシャネルのデザイナーであったカール・ラガーフェルドでした。
このコンクールの審査員の一人にVOGUEのディレクターであったミッシェル・デブリュノフがいて、無名のイヴ・サンローランのポートフォリオを目にし、友人のクリスチャン・ディオールと同じAラインの線を描く事に驚き、イヴ・サンローランとディオールを引き合わせたことをきっかけに2人の交流が始まるのです。
1954年ディオールはイヴ・サンローランの才能に感銘を受け、すぐに後継者として育成を始めました。ディオールは自身のスタッフに「彼は特別な才能です。私は彼に認められたい」と言い、次のコレクションでイヴ・サンローランを連れ出すと言い出したそうです。
それを聞いたスタッフは驚き、イヴ・サンローランの若さもあり「もう少し待たなければならない」と伝えたと言われています。
しかしクリスチャン・ディオールに入り3年後にディオールが急逝してしまいました。イヴ・サンローランは21歳で飛ぶ鳥を落とす勢いだった巨大メゾンの主任デザイナーに就任する事になるのです。
重圧に押しつぶされてもおかしくない状況の中、1958年初仕事のコレクションでイヴはトラペーズライン(台形が特徴的)のデザインを発表しました。続いて秋のパリ・コレクションでは、このラインを前面に押し出したルックを揃えました。ディオールの為に発表した全てのデザインはどれも好評で、羨望の的となったイヴ・サンローランは翌日の新聞で『イヴ・サンローランはフランスを救った。偉大なるディオールの伝統は続く』という見出しが躍りました。さらにニーマン・マーカス賞の受賞を果たします。
多くの顧客はイヴ・サンローランの熱狂的な信者になるほどでした。
しかし1960年アルジェリア独立戦争で戦っていたフランス軍に徴兵をされイヴ・サンローランはディオールを離れることになります。
この徴兵の裏ではイヴ・サンローランをよく思っていなかったディオールのオーナーであったマルセル・ブサックの働きかけがあったと言われています。ディオールが生前、イヴ・サンローラン以外に気にかけていたもう一人、マルク・ボアンを主任デザイナーにしたかったのです。イヴを戦争に行かせ、その間にイヴを解雇してマルク・ボアンを主任デザイナーに就任させたのです。
軍属となったのは、たった20日間だけだったのですが軍内のいじめなどもありイヴ・サンローランは精神を病みフランスの精神病院施設に収容されました。数年間苦しみ続けた彼でしたが徐々に回復を果たしました。ディオールを去ることを決断したイヴ・サンローランは当時、恋人であったピエール・ベルジェ、マック・ロビンソンと一緒に1961年、オートクチュールメゾン「イヴ・サンローラン」を立ち上げました。アメリカの実業家マック・ロビンソンの援助もあり、若き才能イヴ・サンローランの快進撃が始まります
数々の功績を残したイヴ・サンローランは2002年パリでのオートクチュールコレクションを最後に引退します。同年10月31日にパリ16区・アヴェニューマルソーのアトリエを閉店させます。これは「イヴ・サンローランのオートクチュールメゾンは、彼以上の才能を持つデザイナー後継者を将来にも見つけることは不可能とし、歴史に幕を閉じた」とも言われました。オートクチュール部門は閉鎖し、ブランドはリウ・ゴーシュのみの展開となります。
2008年6月イヴ・サンローランは71歳に癌のため逝去ました。パリで行われた告別式には女優のカトリーヌ・ドヌーブやサルコジ大統領夫妻といった各界の著名人800人が参列し、フランスだけでなく世界中のマスコミで大きく取り上げられました。
エディ・スリマン
エディ・スリマンはイヴ・サンローランの残した伝統を継承しながらも新しいサンローランのスタイルを確立していく立役者となります。彼はサンローランを語る上では外せないデザイナーです。
1997年よりメンズラインのデザイナーに就任し、その後ディオール・オムで伝説的なコレクションを発表後、フォトグラファ―へと転身。そして2012年サンローランへ戻ってきました。彼はメンズ・レディースを含め、全デザインを担当する権限を持ち新しいサンローランを発信していきます。
彼が手掛けた最も象徴的なものが、ブランド名の変更でした。
イヴ・サンローランをサンローラン)へ変更ました。
フォントも斜体からシンプルなヘルベチカへと変えました。これは過去1966年にサンローラン・リブ・ゴーシュを立ち上げた時と同じものです。つまり原点への回帰でした。
ショップデザインも生まれ変わり、デザインもエディ・スリマンが手掛けました。
黒と白のモノトーンを貴重としたシンプルで上質な印象を与える空間へと変貌しました。
エディはロッカーたちが愛用するアイテムを独自の観点で再解釈をして、ラグジュアリーアイテムとして再提案したのです。
これまでのラグジュアリーブランドにはなかったスタイルの提案でした。
エディ・スリマンによって生まれ変わったサンローランはブランド価値も大幅に向上しました。そして、なによりも若者たちにも受け入られることに成功したのです。
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