日本ではロレックスと並ぶ人気を誇る、スイスの老舗高級時計ブランドオメガ。

今回はそんなオメガの歴史をご紹介したいと思います。

 

２３歳の時計師ルイ・ブランが、今からおよそ１７０年前の１８４８年に時計の組立工房をスイスのラ・ショー・ド・フォンで創業したことからオメガの歴史は始まります。

 

彼の工房では当初、ムーヴメントやケース、文字盤などをそれぞれの専門の工場から仕入れて組み立てだけを行なっていたそうです。

 

１８７７年には長男のルイ・ポールと共に「ルイ・ブラン＆フィルズ社」を設立。

しかし彼はわずか２年後に他界してしまいます。

その後ルイ・ブランの三男であるセザールが経営に加わり、１８８０年には現在本社が置かれるビエンヌの街に工場を設立。

機械製作による部品作りから組み立てまでを一貫しておこなえる、当時としては革新的であった「自社一貫生産体制」を作り上げ、数年後には年間１０万個を生産するスイス最大手へと成長していきます。

 

１８９４年には当時のセオリーを覆す最高性能の「オメガ・キャリバー」を発表します。

当時の技術として最高のものと評価され、その素晴らしいムーヴメントはギリシャ語で「究極」を意味する「オメガ」と名付けられました。

その後１９０３年に当時の「ルイ・ブラン＆フィルズ社」から「オメガ」へ社名を変更しました。

 

２０世紀に入ると、時代は懐中時計から腕時計へと変わり始めます。

第一次世界大戦を契機に腕時計がさらに実用化され、各国の正式な装備品として迎えられます。

このころに作られたモデルは懐中時計を小さくしただけで、防水性や耐久性がほとんどない時計でした。

イギリス政府からの依頼でスチール製の防水時計の注文があり、この時に誕生したのがスクリューバック・ケースの防水対応の軍用時計でした。

これが戦後、シーマスターへと発展していきます。

 

 

また、同時期の２０世紀前半には天文台に関する精度の樹立に精力的に活動しています。

この精度との戦いは、約４０年後になるとキュー・テディントン天文台の精度コンクールで１２回も１位の座に輝くという驚異的な数字を残す結果となりました。

 

それ以外にも、１９３２年のロサンゼルス・オリンピックで公式時計を務めるなど「精密時計のOMEGA」という名声を確立しました。

 

１９４０年代終わりから、１９５０年代半ばにかけては「シーマスター」、「コンステレーション」、「シーマスター300」など現代のコレクションに受け継がれるモデルが次々と開発されました。

 

そして１９５７年オメガの象徴ともいえる「スピードマスター」が誕生します。

このモデルは１９６５年、NASAの公式時計として採用され、１９６９年アポロ１１号とともに月面へ降り立ったことで有名な時計ですね。

NASAが宇宙飛行士の時計を決定しようとしたとき、ヒューストンの時計店でいくつかのクロノグラフを選び、疑似宇宙環境で過酷なテストを繰り返した結果、唯一合格したのが「スピードマスター」だったそうです。

しかもそれは、テストに備えて特別に仕様を変更したものではなく、店頭で普通に売られていた市販品だったというのですから驚きですよね。

日常的な用途の市販品であっても、宇宙で通用する高性能な時計を製造していたことがオメガの並外れて優秀な時計技術を見事に証明したと言えるでしょう。

 

こうしてNASAに公式採用されて以来、人類初の月面着陸をはじめ、数々の有人宇宙ミッションで活躍した「スピードマスター」はプロの使用に耐えられる精密時計という意味で製品名にプロフェッショナルが加えられ、現在もデザインを大きく変えず、作り続けられています。

また、オリンピックもオメガの存在を広く知らしめています。

オメガのスポーツ時計の歴史は１９０９年にチューリッヒで行われた気球大会にはじまり、１９３２年以来、２８回ものオリンピックでオフィシャルタイムキーパーを務めています。

 

また、現時点で２０２０年の東京オリンピックでオフィシャルタイムキーパーを担当することが決定しているそうです。

 

 

 

そんなオメガですが、数々の栄光の裏で２度の大きな経営難を乗り越えています。

一つ目は世界恐慌、１９２９年に世界を襲った世界恐慌はオメガにも立ちはだかりました。

この危機を、同じスイスの時計メーカー「ティソ」とSSIHグループを結成することで乗り越えました。

二つ目はクオーツショック、１９６９年セイコーが発表したクオーツ時計は数々の名門時計メーカーを倒産に追い込みましたが、オメガも経営難に陥り、１９８０年にはセイコーからの買収騒動が起こったほどだそうです。

ETA社から独立した「スウォッチ」を中心に合併が始まり、SMHグループが創設されました。

このSMHグループが名前を変え、世界一の時計企業グループ「スウォッチグループ」が誕生しました。

 

 

オメガの定番モデル

 

シーマスター

シーマスターが誕生したのは１９４８年。

イギリス軍が第二次世界大戦中にオーダーした防水時計「マリーン」を改良して作られたと言われています。

そのマリーンよりもさらに優れた防水機能をもつダイバーズウォッチがシーマスターです。

 

シーマスターの代表モデル

・プラネットオーシャン

・プロダイバーズ

・アクアテラ

・アプネア　など

 

デ・ビル

デ・ビルが誕生したのは１９６７年

もとはシーマスターのモデルとして作られ、別のシリーズとして独立したという歴史があります。

実用面を重視しつつも、宝飾性の高いモデルです。

ドレスウォッチとしての一面を持ちながら、充実した機能も魅力の一つです。

 

デ・ビルの代表モデル

・プレステージ

・アワービジョン

・トレゾア　など

 

コンステレーション

コンステレーションとは、英語で星座を意味します。

文字盤の６時の位置にある星マークと裏蓋の天文台が印象的なモデルですね。

セレブ御用達のラグジュアリーなエレガントウォッチです。

 

コンステレーションの代表モデル

・グローブマスター　など

 

スピードマスター　

オメガの代名詞ともいえる代表的なモデルですよね。

人類が初めて月面に降り立った際にアポロ１１号に乗る宇宙飛行士が着用していた時計として有名です。

スピードマスターが「ムーンウォッチ」という愛称で親しまれているのはこのことが由来しています。

限定モデルやコラボレーションモデルなど、種類がかなり多いモデルです。

 

スピードマスターの代表モデル

・プロフェッショナル

・レーシング

・マークⅡ

・スカイウォーカーH-33

・スペースマスターZ-33　など